旅行記01 ミコノス

自分の生まれた田舎で建築の仕事を始めるにあたり、もう一度原点に還って建築に触れてみたかった。自分のテンションを確かめてみたかった。仕事も区切りがつき、全てのスケジュールから解放された9月、ひと月ほど予てから訪れてみたかった場所を中心に地中海からフランスにかけてまわってきました。実際旅行中は日々の移動や食事、ホテルの確保などに追われスマートなものではありませんでしたが、日常とは異なる自由と不安を楽しむことができました。僕は旅行記に関しては生々しく書くことを避けてきました。なるべく冷静に、自分なりに消化して、できれば相対化してから言語化しなきゃいけないと思っていました。今回は自分でまだ整理がつかないまま、旅行中つけていたメモを要約するかたちでそのまま綴ってみようと思います。だからほとんど僕個人の整理用にこのブログを利用してみます。どうなるかわからないけど。


9月3日 ミコノス
夜明けとともにピレウス港を出港した。太陽が海から上がってくる。夏の地中海は強い太陽が支配する世界。海面から隆起した赤茶けた塊みたいな島が現れる。生き物の気配すらない不気味な島。海の青が濃い。波端は風にあおられ白い水しぶきになって散っていき、ところどころで小さな虹が生まれている。
ミコノスのホテルに着くとゾル親子が迎えてくれた。部屋のベットに腰をおろすと自分は一体何をやているんだろうという想いが湧く。
ぼんやりとした頭で、まだ陽射しの強いミコノスタウンを散策する。狭い露地は次々と連なって時々小さな(本当に小さな)広場や家族教会に出会う。とにかく不思議な感じ。すべてがこじんまりと感じる。もしかしたら建築の外部空間として捉えるとこじんまりと感じるそれらは、建築の内部として捉えるとなるほど適当なものかもしれない。
床も壁も屋根も境界が無く白く一体になっていることも内部的な感覚を与えている。露地に現れる階段は1階と2階を結ぶ生活動線。またその階段下にはもともと便所や流しなどの水廻りがあったという。露地はまさしく住宅の一部。家族教会を中心に核家族の住居が集まってゆるやかな大家族を形成しているというから露地や小広場は大家族にとっての廊下や家事場であり、居間や客間なんだね。

地中海。強い太陽がすべてを支配する世界。


従兄弟のゾルとジルが立ち話(的な)


今はショップだけど、この感覚。露地も食堂に。

小さなヘコみが応接間に。


樹を受け止める為に建築が手を出しているみたい。

家族教会と小広場。

粘土細工みたいな教会

道路の断崖端を知らせる立ち上がりがいつの間にかベンチに。いいセンス。

半日も過ごすことになった船着場の待合所。日陰は別世界。




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