旅行記11 ヴィチェンツァ アンドレア・パラディオ

9月20日
今日はヴィチェンツァの街を歩くだけだから朝少しゆっくりと過ごす。ボローニャ駅の切符売り場は行列。自動発券器の使い方も覚えたけど、クレジットカードはあんまり使いたくないから行列に並びチケット購入。10時前ヴェネツィア行きの列車に乗りパドヴァ乗り換え、12時すぎヴィチェンツァ着。緑も美しくどことなく街にも品がある。ここはアンドレア・パラディオの街。ガイドブックに出ているだけで13ものパラディオ設計と思われる建築がある。その内、邸宅建築などいくつか見て歩くも、やはり主なものはシニョーリ広場廻り(バシリカやロッジア・デル・カピタニアート)とマッテオッティ広場廻り(テアトロ・オリンピコやパラッツォ・キエリカーティなど)にあるようだ。シニョーリ広場では屋台がたくさん出ていてにぎわっている。チーズ、パン、揚げおにぎり、ソーセージにイタリア風串焼など、ワインやビールなど飲みながら皆楽しんでいる。東京のこじゃれたお店のランチよりよっぽど豊かだよ。都市空間にこれだけ無駄な、すなわちみんなで居座る無駄な場所があるということが贅沢なんだなあ。僕も揚げおにぎり2種と缶ビールを買いパラディオのバシリカに腰かけ昼食。
パラディオの建築は確かに強い対称性があるけど、思ったより柔軟というか自由奔放な感じがした。ローマという手法、手法といえばもっと近くのルネサンスがあってそれを自分のものとして取り込んでしまって、それを自由に使いこなしてしまっている。話は変るけど僕は個性っていうのはシステムがあって初めて現れるものだと思う。システムによって自分が世界とつながってしまう感じ(スイッチが入ってしまってどんどんドライブしていく感じ)。例えがおかしいかもしれないけどパラディオのファサードを見ていると何故か村野藤吾大阪新歌舞伎座の連続唐破風を思い出した。歴史的にはそういうのをマニエリスムと言うんだろうか。
個人的にいちばん良かったのはやはりテアトロ・オリンピコ石山修武さんのレクチャーで知って以来訪れてみたいと思っていた。確かに天井には空が描かれていた。
夕暮れが近づくころ、川沿いの美しい並木を通り丘を越える小道を歩く。一日中歩いて疲れも出てきたけどなんとかラ・ロトンダにたどり着いた。
コーリン・ロウが「理想的ヴィラの数学」で引用していた田園の風景。ヴェルギリウスの夢のなかへ・・。

ロッジア・デル・カピタニアート。

シリカ。独特のリズムを持つ柱と開口。

シニョーリ広場。

シニョーリ広場の屋台。

パラディオらしき外観から門の中を覗くとそれらしい雰囲気。たぶんそう。

パラッツォ・キエリカーティ。奥行きを持った立面。結構好き勝手に操作してる感じがする。

テアトロ・オリンピコ内観。

同上。ファサードの奥に街並がつくってある。

天井に描かれた空。この空はローマの空なんだろうね。

バッキリオーネ川沿いの並木道。

ラ・ロトンダ。

同上。

テアトロ・オリンピコのスケッチから。
備考 http://www.cisapalladio.org/index.php?lingua=e




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