旅行記19 パリのパサージュ

9月30日
ホテルを出ると小雨模様。朝の出勤時間と重なりメトロも混雑している。やっぱり満員電車はストレスがたまる。午前中ブーローニュの森近くジャウル邸へ。壁が連なるモノル+連続ヴォールト。壁はレンガと木のパネル、ガラスの組み合わせ。コルビュジェは若いときから住宅を覆う要素としてヴォールトを使い続けている。そういえばコルビュジェのアトリエもヴォールト天井だった。
昼過ぎセーヌ川のブランリー川岸に建つケ・ブランリー美術館(ジャン・ヌーベル)へ。この旅行で唯一訪れた現代建築。エッフェル塔とブランリー川岸をつなぐ広大なピロティ空間の植栽が不思議な風景を生み出している。内部の展示空間にはジャン・ヌーベルがあまり関わっていないような気がした。
この日の最後はラブルーストの国立図書館を訪れた。国立図書館の閲覧室はベンヤミンがパサージュ論を執筆した場所。この閲覧室はパサージュそのもの。組積造の壁で囲まれ、鉄とガラスによって覆われている。
ベンヤミンにとって国立図書館の内部空間は、彼が<集団の夢の家>と呼ぶ博物館、パサージュ、パノラマ館などと無縁のものではなかったように思われる。・・パサージュが時代遅れの腐敗と死滅の過程にある建築空間であったように、図書館もまたつねに、過去の瓦礫を堆積させた廃墟ではなかっただろうか。ベンヤミンはその迷宮の内奥へと入り込んでいったのだった。19世紀という夢の奥へと。」(田中純「夢のトポロジー」建築文化1996年5月号)


10月01日
午前中サヴォワ邸(http://d.hatena.ne.jp/uda-24/20081222/)。午後はパサージュ散策。オルセー美術館など。
夕暮れのシャンゼリゼは華やいで見える。思ったほど寒くなかった。遠くに凱旋門が見える。ちょっとだけさみしい気がした。この旅行の最後の夜だった。


ケ・ブランリー美術館(ジャン・ヌーヴェル)。ブランリー川岸の緑と空、美術館の植栽が溶け合うようなスクリーン。

同上。パリのど真ん中に不思議な場所が生まれていた。

パリ中心部の建物は壁を共有して建つ為、妻壁の仕上が無い。共有壁(mur mitoyen)の表情は見ていて楽しい。

クック邸(ル・コルビュジェ)。屋上に不思議な奥行きがある。

ガルニエ宮オペラ座)。

パサージュ・ジュフロワ。

パサージュ・ヴェルドー。

パサージュ・ジュフロワよりパサージュ・パノラマを望む。オスマン大通りに切り開かれたパサージュの切断面。

パサージュ・パノラマ。

シャンゼリゼ大通の夕景。




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