最近本もまともに読めなくなり、ちょっとした文章も書かなくなりました。これはまずいということで長年手をつけてなかった2002年のフランスのロマネスク教会を巡る旅行記を改めて書いてみようと思います。うまくいくかわからないけど。
2002年のこの旅は初めての欧州でした。旅の第一の目的であるロマネスク教会は修道院が多く鉄道で行けない場所もあり、結果的にフランスのローカルな場所をレンタカーで廻ることになりました。(そう、スマホもgoogle mapも無い時代で地図を片手に、、)そこには美しい自然と中世から続く小さな街や村、そしてロマネスク教会があり、全てが美しく初めて体験する世界であり、それは生涯忘れらないものになりました。
まずこの旅の機会をいただいた当時僕が勤めていた丸山保博建築研究所の丸山さんに感謝したいと思います。ロマネスク起源の教会を旅の目的に据えていただいたこと(僕だったらまず近現代の建築を中心に計画を立ててしまったと思います。)、事務所の仕事をひと月以上お休みして旅費も出していただいたこと、今思えば本当に信じられないことです。
少しづつ本題に入っていきます。
ロマネスク教会はとても不思議な建築でした。建築の構造形式の原点は帝政ローマ時代の集会所等であったいわゆるバシリカ形式ですが、その各々の地域性に根付いた多様性が魅力です。
また、土着的な素朴な民家のような佇まいと同時に、それに相反するような強い意志があります。屋根を含めて石で造られた「石の家」を建てる、という強い意志です。
暗闇に目が馴染み始めると何やら頭上の暗闇で蠢くものの存在に気づき始めます。キリスト教以前の古い時代の神々が様々な彫刻になって、ひっそりと棲んでいるのでした。そうか、古い時代の神々まで含めた人々の遠い古層の無意識の倉庫なんだな、と思いました。だからこそ、懐かしい場所であり、現代まで特別な場所であり続けるんだと思います。
これから先は、当時の記憶は薄れているので、旅行中のメモとなるべくたくさんの写真(フィルム写真をスキャンしたもの)をそのまま載せたいと思います。
旅行記はブルゴーニュ地方のポンティニィという小さな村にあるシトー派最大のサン・ドニ教会から始まります。ロマネスク様式ですが、シトー派最大の教会堂ということもあり構造的にも無理があるのか既にフライング・バットレスも見られます。
初ロマネスク教会ということでとにかく感動したことを覚えています。内部は(巨大ですがシトー派らしく)装飾もあまりなく白っぽい切石で硬質な印象でした。
02年 8月25日(旅行3日目)
朝8時。モーテルからロータリーに出てすぐ6号線をみつけ、アバロン方面へ向かう。オーセールの街を見下ろしながら運転。小さな村々。広大な畑。ポプラ並木を道路が通る。そのドライブに感動。
ポンティニィは小さな村(※)。日曜日の村のお祭りといった風でフリーマーケットや屋台で賑わっている。道端に車を停め、教会(ポンティニィのサン・ドニ教会)へ。
石造(白い切石)の音響(石と空気のヴォリューム)に驚く。美しい聖歌に満たされた堂内、小礼拝室のベンチに座りスケッチ。
お昼は村の広場の屋台で。ソーセージ、ポテト。他の多くの家族連れと共に。よかった。
17時。ホテルはヴェズレーの門前。広場に面したホテル。部屋は小屋裏を改装したもの。体と頭が痛く、疲れている。
※8世紀にあった橋(ポン)が起源。
村の素朴な建物。川に片足をつけて建っている感じがとてもいい。
サン・ドニの教会堂(かつては付属の施設群も)川に沿うように建てられています。
教会前の建物。石と塗り壁の表情がとても柔らかく魅力的でした。
教会正面。さしかけ屋根の入り口は12世紀のオリジナル。
中庭から教会側面を見る。中庭の回廊は一部が現存するのみ。
中庭の回廊。
スケールの大きい教会内部。側廊より身廊を見る。
後陣。ゴシック的な要素もみられます。
翼廊の小礼拝室(記憶があいまいに、、)?奥行きのある開口と壁で受ける光が美しいです。
小礼拝室。
小礼拝室。
側廊の高窓。
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