夕景

いつもより早く仕事終わり、日没後の初夏を思わせる空気を吸いながらひと駅歩いてみる。この現場は都心から電車で1時間ほどの場所。空が広い。空の色は薄い夕焼け色から深い青に近づいていく。もうすぐ星が出る。大きな川に架かる橋を渡ると、ゆらゆらと水が暗闇から空の残光に向かって流れている。深い暗闇の無意識から照らし出された表層の意識へ向かう流れみたいに。不意に、橋の下の足元の暗闇のなかの水面に、手に持っていたものを投げ入れてみたい衝動にかられた。
車中読んでいたある本のくだりから、急に大学時代の下宿の部屋を思い出した。試験前日徹夜で友人と勉強のはずが、景気づけの酒がたたり眠っていた。気がつくと部屋が夜明けの光でぼんやり明るくなっていた。「最後の手段使うしかねー」といいながら明け方の空の下、缶コーヒーを買いに行ったこと。








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