風景のこと

前田泰宏さん講演 「美の効用」について

内田咲子さんから誘っていただいた前田泰宏さん講演会の案内には「美の効用」とあり、当初、怪しい?と訝しんでいました 笑。しかし、前田さんのお話しが始まると一気に引き込まれ、笑いもあり、あっという間の一時間でした。 強烈なお話しで、頭のなかで整…

奥出雲 / たたら製鉄 / 棚田

実家の庭から眺めた冬の風景(奥出雲町 佐白)ここは雲南から仁多に入ってくる街道の最初の宿場町だったと聞きます。冬は、かつてのまちの骨格が浮かび上がります。雪の粒子で覆われると、新建材も人工の構築物も、木や草や遠く山並みまで連続していきます。…

海の夢 ル・コルビュジエについての断章 

お彼岸。 太陽が真東から昇り真西へと沈む、秋分の日は、この世(此岸)とあの世(彼岸)が地続きになる日。 建築の本質は境界をどうつくるか、ということだと考えてみます。 その境界をきっかけにして内部と外部が生まれます。 境界は何か特別な場所ではな…

海の庭

ある言葉が自分のなかにある無意識の記憶と繋がることがあります。その時、不思議なあたたかさを感じます。あたたかな陽射しで冷たくてかたい何かが溶けていくような感じ。 「抑鬱をたたえて 海の庭に来てみては 今日も「石」の聞く音を 聴く」 序文より ア…

磯崎新「海のエロス」

「ひとりの男のうしろ姿を撮った一枚のスナップが、私にはどうも忘れられないでいる。それは、地中海の光景だ。まったいらにひろがる水平線、おそらく、焼きついた浜辺の小石のうえを、おどるようにとびはねながら、海へむかっているひとりの老人の水着姿な…

プロポーザル

建築家の寺本 和雄さん、有光 礼子さんと挑んだプロポーザルが終わりました。(構造協力:寺本道彦さん) 我々のテーマは「斜面」でした。この計画は、要求される機能を満たしながらも、ひたすら「斜面」という、機能に絡め取られない場所について考えること…

「シン・ウルトラマン」雑感

「シン・ウルトラマン」雑感(本当に雑感、、) 庵野 秀明さんと言えば、個人的に思い浮かぶのは巨神兵です。 エヴァンゲリオンもシン・ゴジラもそしてシン・ウルトラマンもみんな巨神兵に見えてしまいます。 (ちなみにあの巨神兵の手足の長い独特のプロポ…

建築のトポロジー_02 / お彼岸

お彼岸。 太陽が真東から昇り真西へと沈む、春分の日・秋分の日は、この世(此岸)とあの世(彼岸)が地続きになる日。 建築の本質は境界をどうつくるか、ということだと考えてみます。 その境界をきっかけにして内部と外部が生まれます。 境界は何か特別な…

「国家」とは何か

グローバル化が進めば進むほど、ロシア、中国はもちろん欧米をはじめとして(日本も)自国優先主義が目立つように見えるのはどうしてでしょうか。(自国だけで世界(経済社会)は完結しないのに、、 「国家」とは何でしょうか? いっそのこと無くせないのか…

「石橋」

「石橋(しゃっきょう)」 「仏跡を廻り唐の清涼山(しょうりょうせん)に到った寂昭法師が現世と浄土をつなぐ石橋を渡ろうとすると、木こりの老人が現れ「この橋は幅が一尺に満たず、長さは三丈を超え、谷は深く、容易に人間が渡れるものではない」と制止し…

拝啓 小林 澄夫 様

ご無沙汰しております。いつもながらお手紙や貴重な詩集を送っていただきながら失礼ばかりしています。私と言えば、いつも何かに追われるような気分で落ち着かず過ごしていますが、でも何に追われているのか、私を追いかけるものは「仮面」を被った何者なの…

建築の世紀末

アメリカの大統領が選挙の結果は嘘だと言ったり、新型コロナウイルスやワクチンに対する捉え方が(国や専門家の言うことと)全く異なる意見があったり、近代社会の前提となっていた「ルール」が共有されなくなってきたように感じることがあります。僕が建築…

冬の風景

ここは雲南から仁多に入ってくる街道の最初の宿場町だったと聞きます。 冬は、かつてのまちの骨格が浮かび上がります。 雪の粒子で覆われると、新建材も人工の構築物も、木や草や遠く山並みまで、トポロジー的に連続していきます。 計画とは線を引くことです…

お彼岸

お彼岸。 太陽が真東から上がって、真西に沈み昼と夜の長さが同じになる日。プラスとマイナスが、地と図が反転する境界の上。 むこう側とこちら側、あの世とこの世、彼岸と此岸、外部と内部、、。 それらが反転する境界。座標軸の上「ゼロ」地点。 境界の上…

「風景」とテーマパーク

たたら製鉄でうまれた棚田に「風景」を感じます。 「風景」とは共有されてきたその場所での営みの時間と現代の日常が折重なるリアリティだと僕は勝手に定義しています。この場所での過去の営みの地層の上に現代の日常がきちんとあるという安心感。 真面目す…

拝啓 小林 澄夫 様

お元気ですか。僕はいつも何かに追われるように落ち着きがなく、もう少しゆったりと自分に自信を持って日々を過ごしたいなと思っています。しっくいの曼荼羅。ありがとうございます。仕事場に貼っていて、ときどきふと目に入ります。すごくいいなあと思いま…

しっくい曼荼羅

小林澄夫(元左官教室編集長)さんから漆喰の曼荼羅が送ってきました。 僕は小林さんの眼差しがとても好きです。 石灰と 火、風、水がもたらす性質の変容が現されています。 そして大地(石灰石)、海(サンゴ)、空(二酸化炭素)を行き来する石灰(炭素)…

小林さんへの返信

小林 澄夫 様 前略 寒くなってきました。お元気でお過ごしですか。 「遠州大念仏」「墓誌銘」そして図書掲載「土壁のある風景」いずれも貴重な冊子を送っていただきありがとうございました。お礼に何か僕も文書を描こうと思ったら、おじけずいて描けず今日ま…

鳥上/クロンマクノイズ/風景

普段 何気なく見ていた鳥上の風景が、たたらの遺構の上に成り立っていたことに驚きました。恥ずかしながら、そんなことを意識したことはありませんでした。 9年くらい前、アイルランドを旅行する機会を得ました。 内陸部を横切るシャノン川のほとり、クロン…

地名のこと 

昨年6月末ころ小林 澄夫 様 前略 「詩集 東北レイクエム」を送っていただき読ませていただきました。 今回もうちのおばあちゃんも読みたいと言って興味深く読んでいました。 発行数も限られたこのような貴重な本を送っていただいて本当にありがとうございま…

結ぶことほどくこと

泥壁の表情 すすで黒ずんだ泥壁。藁すさが見えます。 写真は横田にある民家の壁です。泥壁。 「そこには、建てることが結ぶことだという思想があった。結んだものはほどくことが出来る。・・・この結ぶことのソフトな技術を見事にみせてくれるのが、木舞土壁…

小林さんへの返信

小林 澄夫 様 前略 「詩集 東北レイクエム」を送っていただき読ませていただきました。 今回もうちのおばあちゃんも読みたいと言って興味深く読んでいました。 発行数も限られたこのような貴重な本を送っていただいて本当にありがとうございます。 本来すぐ…

「アーキテクチャ」

今更だけど思想地図voi.3「アーキテクチャ」(東浩紀・北田暁大 編)を読みました。そして木綿街道ブックマーケットでたまたま見つけた「フーコー 知と権力」(桜井哲夫著 2003年 講談社)も合わせて読みました(拾い読み程度だけど)。以下、それらの感想と…

動物化するポストモダン 続

「18世紀より20世紀半ばまで、近代国家では、成員をひとつにまとめあげるためのさまざまなシステムが整備され、その働きを前提として社会が運営されてきた。・・・「大きな物語」とはそれらシステムの総称である。」近代は「大きな物語」の時代でした。…

小林さんへの返信から

小林澄夫様 前略 詩集 東北レイクエムを送っていただき読ませていただきました。送っていただいたこと本当にうれしかったです。一緒に住んでいる僕のおばあちゃんも読みたいというので、読ませてあげました。すぐにお礼のお返事を送りたいと思いつつ、忙しさ…

降りてゆく生き方

仁多コミュニティセンターで映画「降りてゆく生き方」の上映会がありました。映画は2009年に公開されずっと全国をまわっています。その映画が上映される場所に出演者、スタッフごと訪れ、観客と映画を共有しながら一緒に現代における「生きる」という意…

海辺のカフカ

久しぶりに村上春樹の「海辺のカフカ」を読んでみた。なんていうか、よくわからないけど、とりあえず村上春樹の小説に浮かんでみることだ。海へ向かって流れる川の流れに身をまかせて浮かんでいるみたいに。僕は川に浮かんでいる。そして大きな橋の上から川…

どんぐり姉妹

「私たちはサイトの中にしか、 存在しない姉妹です。 私たちにいつでもメールをください。 時間はかかっても、お返事をします。」 とめどなく広がる人生で、自分を見失わないように。気持ちが少し楽になる居場所(サイト)、それが「どんぐり姉妹」。 よしも…

大炭窯

15時鳥上現場。大炭窯とその上屋の工事です。 内部の床仕上は土です。たたきではなくまさ土です。 壁と屋根の間にすき間があって光が入ってきます。風も入ってきます。煙抜きの為のすき間です。 木毛セメント板の野地に光がにじみます。ショートケーキみた…

政治に無関心な僕だけど

政治に無関心な僕だけど 僕は政治的にはいわゆる無党派だけど、今度の選挙結果は日本の国民の独特のバランス感覚が働いたような気がする 首相の発言とか、消費税とかそういう問題じゃなくて、日本の国民の独特のバランス感覚なんだと思う 動物化したはずのぼ…