建築

建築家 遠藤克彦氏 / 新たな公共性の獲得に向けて

出雲の建築家 江角俊則さんに誘っていただき建築家 遠藤克彦氏のレクチャーを聴きました。場所は広島平和記念資料館。 大阪中之島美術館を通じて遠藤さんの言われる「公共性」について自分なりに考えてみました。 機能(美術館)の入ったがシンプルな箱は水…

島根県立武道館

通りがかりに島根県立武道館(1970年 設計:菊竹清訓、構造:松井源吾)が開館していたので、かなり久しぶりに足を踏み入れました。4つのコアに2本の大梁が架け渡されています。この梁は梁せいが大きく、ひとや設備が入るくらいのスペースを抱えているよう…

自分が自分であること。建築と自己同一性について。

自分が自分であること。 藤森さんの言葉だったか、昨日と同じ街があって、昨日と同じ建築があって、朝起きると確かに昨晩寝た部屋で目覚めること。人が、自分が昨日までと同じ自分であることは、そんな連続性で確かめてるんじゃないか、といったニュアンスの…

Ms 建築設計事務所 建築家 三澤文子さん

住宅デザイン学校関西場所のひとコマ。 「千里私たちの家/Ms 建築設計事務所」で建築家 三澤文子さんから住まいの変遷をお聞きしました。アトリエと住まいそのものが、千里というまちの変遷と共にあり、木の住まいの実験の場であり、日常と仕事の場であり、…

学生時代の課題から

早稲田大学専門学校(現:早稲田大学芸術学校)在学時 課題から A1の画用紙に全て手描きで描いた配置図。住宅地図をコピーして、カーボン紙を下敷きに描き写しています。敷地は学校とアパートのあった新大久保の住宅地です。間口は2~30mで奥行きは300mく…

コーリン・ロウ「コラージュ・シティ」

松江では松江城の目前の高層マンションの計画を巡り、その是非を問うために建築家の寺本さんが勉強会を開催されると知りました。私自身はまだ詳細を知らないのですが。寺本さんの勉強会の資料を拝見し、そのなかで「街をつくらない高層マンション」という図…

建築が好きになる 24歳の頃 / A3(職人・芸術・建築)ワークショップ

建築が好きになったきっかけのひとつは1998年に早稲田大学で石山修武さんが催されたA3ワークショップでした。2週間、24時間とにかく建築漬けの日々でした。参加者は建築家の卵から学生、ゼネコンの設計部から銀行マン、左官職人から主婦まで多種多様。午前中…

海の夢 ル・コルビュジエについての断章 

お彼岸。 太陽が真東から昇り真西へと沈む、秋分の日は、この世(此岸)とあの世(彼岸)が地続きになる日。 建築の本質は境界をどうつくるか、ということだと考えてみます。 その境界をきっかけにして内部と外部が生まれます。 境界は何か特別な場所ではな…

建築のその不自由さと、建築のその不自由さこそ建築の最大の強度であることについて。

1996年。上京して建築の勉強を始めた頃。当時はコンピューターやインターネットが一般的に普及し始めた時期で、自由な世界をつくりだすコンピューターの可能性が実感され始めた頃でした。対して物質的な建築を、バブルの反省もあって、不自由だと感じる気分…

海の庭

ある言葉が自分のなかにある無意識の記憶と繋がることがあります。その時、不思議なあたたかさを感じます。あたたかな陽射しで冷たくてかたい何かが溶けていくような感じ。 「抑鬱をたたえて 海の庭に来てみては 今日も「石」の聞く音を 聴く」 序文より ア…

おおらかな場を生み出す建築的強度とは

島根大学にてJIA中国支部島根地域会研修会の聴講の機会を得ました。 講師は建築家 前田圭介さん。「おおらかな場を生み出す建築的強度とは」というテーマでレクチャーがあり、後半は前田さんと島根大学教授 千代章一郎先生との座談会でした。 レクチャーの前…

磯崎新「海のエロス」

「ひとりの男のうしろ姿を撮った一枚のスナップが、私にはどうも忘れられないでいる。それは、地中海の光景だ。まったいらにひろがる水平線、おそらく、焼きついた浜辺の小石のうえを、おどるようにとびはねながら、海へむかっているひとりの老人の水着姿な…

プロポーザル

建築家の寺本 和雄さん、有光 礼子さんと挑んだプロポーザルが終わりました。(構造協力:寺本道彦さん) 我々のテーマは「斜面」でした。この計画は、要求される機能を満たしながらも、ひたすら「斜面」という、機能に絡め取られない場所について考えること…

Chandigarh Architecture Museum

Chandigarh Architecture Museum(2016年12月) チャンディーガルの美術館の横にある都市計画や見地の博物館です。 オリジナルはスイスに建つ Pavillon Le Corbusier(おそらく鉄骨造) 機能に対応した箱と自立したルーフ(屋根)。そして機能に対応し…

「プロトタイプの野心」

だんだん建築雑誌は読めなくなってきましたが、定期的に送ってもらえるTOTO通信は読んでいます。 今回の特集は「プロトタイプの野心」。 昨今の建築には「近代」との距離感、歴史という文脈に対する意識は希薄なのかなと感じていました。しかし今回のT…

建築がその場所にあること 

建築は場所に拘束されるし、動かない。 一度決めたらカタチは変えられない。 何より重い物質で出来ているから、とても不自由です。 でも、建築のその圧倒的な不自由さこそが、建築の最大の強度でもあると思っています。 遠い記憶のなかにあった建築がそこに…

倉吉市役所本庁舎

グラムデザインさんのオープンハウスにお邪魔して、夕暮れ間近、丹下さんの倉吉市庁舎へ。 敷地のレベル差に沿って積層するやや無骨な水平の梁が目を引きます。(しかも階高がかなり低く抑えてあり、より水平方向に引っ張られるよう) 無骨な構造と繊細な間…

「共同性」について

学生時代、鈴木了二さんの課題で「共同性」がテーマになったことがありました。 そのとき、「みんな仲よくしよう、といってそれが本当に良いことかわからない。もしかしたらそれは残酷なことかもしれない。仲間をつくることは仲間外れをつくることだから」と…

建築のトポロジー_02 / お彼岸

お彼岸。 太陽が真東から昇り真西へと沈む、春分の日・秋分の日は、この世(此岸)とあの世(彼岸)が地続きになる日。 建築の本質は境界をどうつくるか、ということだと考えてみます。 その境界をきっかけにして内部と外部が生まれます。 境界は何か特別な…

江津市庁舎

石州瓦工業組合主催の竹原 義二さん講演会「風土が生み出す瓦」へ。 竹原先生の言葉を聞いていて、現代の建築が失ったもののことを想いました。そのひとつが「時間」。つくる時間、その場所に在り続ける「時間」。 今の建築は簡単に、なるべく簡単につくる(…

建築のトポロジー

建築のトポロジー。 点の断面(境界)を持つものは線であり、 線の断面(境界)を持つものは面であり、 面の断面(境界)を持つものは立体となります。 内藤廣さんのグラントワ中庭の水面。 水際が厚さゼロ=エッジ・線 の境界を持つことで、そのことで、そ…

建築の世紀末

アメリカの大統領が選挙の結果は嘘だと言ったり、新型コロナウイルスやワクチンに対する捉え方が(国や専門家の言うことと)全く異なる意見があったり、近代社会の前提となっていた「ルール」が共有されなくなってきたように感じることがあります。僕が建築…

ドミノ ル・コルビュジエ レム・コールハース SANAA

レム・コールハースほどコルビュジエのドミノを愛した建築家はいないのではないでしょうか。水平のスラブは斜めに運動し、トポロジカルに連続しています。 しかし垂直方向に積層されているスラブという意味で自然とは離れていて、やはりドミノであることには…

「機能」から「場所」へ 斜床について 西沢立衛

昨日は西沢立衛さんのお話を聞く機会を頂きました。久しぶりに建築家のレクチャーを聞きました。 当初の、機能を納める箱をどうレイアウトするのかといったダイアグラム的な建築(静的)から、経験的なプロムナードのような建築(動的)に至る展開の話でした…

カタチを「決める」こと

1996年。上京して建築の勉強を始めたころ。よくわからないけど、とりあえず建築家の話でも聞いてみようとでかけた講演会がありました。 ほとんど記憶だけで記述するので若干あいまいな点もありますが。 それは隈さんと理顕さんの対談形式の講演会でした。タ…

基町高層アパート・広島平和記念公園

8月16日 所用にて広島市。奥出雲から2時間ちょっとで着くんですね。雨は上がったけど、蒸し暑い。 NHKで取り上げられたり、難波さんがブログで触れられて気になった基町高層アパートに立ち寄りました。(※自由にアクセスできますが、あくまで住宅なの…

妹島和世さん 講演

パナソニックさんの大規模な新商品内覧会「NEW BOX 2014」会場CONVEX岡山に参加させていただきました。その会場で妹島和世さんの1時間半に及ぶ講演を聞くことができました。島根に帰ってからは建築家の講演を聞く機会がなかなかないのでありがたかっ…

出雲大社 庁の舎

50m近いスパンをプレストレストコンクリートの長大な梁を束ね柱に架け渡した、水平の構築性とでもいうべき不思議な力を持った出雲大社 庁の舎。仮拝殿の為、境内の配置はきゅうくつなものになってしまっていました。 内部の床は一部、小径木の小口を並べた…

旧島根県立博物館

昨晩は島根県建築士事務所協会通常総会で松江に泊まりました。 旧島根県立博物館の前を通りかかったので、思わず写真を撮りました。 改修後もちゃんと2層のプロポーションを持つピロティが残されていてうれしいです。 ふおおおお。プロポーションがかっこよ…

「やわらかい建築の発想」

アマゾンで脊髄反射的に本を注文することが多いのですが、この本はたまたま書店で手に取って気に入ったので購入しました。 僕と同世代か、もっと若い9人(組)の建築家が39の問いかけに対して回答するという構成です。その問いかけそのものが面白くて、と…