読書

「中国的建築処世術」

中国を拠点に設計活動、研究活動をするお二人(東福大輔+市川紘司)の共著。 中国建築を動かすプレイヤーたち、中国建築が生まれるプロセス、中国式ビルディングタイプ考、日本人が気をつけるべき中国建築事情など。生々しい現場の実務の事情と、その中国特…

「箱の家に住みたい」

今日は思い立って手に取った難波さんの「箱の家に住みたい」を読みました。箱の家-1のクライアントとの臨場感あるやりとりや、箱の家の内装の仕様とその理由など、とても整理されていて、実務者にとっても具体的で参考になる内容もありました(14年前の著書な…

シェアをデザインする

この本を読んでいて思い出したのは、僕が小さいころ、いつもおばあちゃん達が近所同士何かをおすそ分けしていたことでした。畑で採れた菜っ葉やジャガイモ。秋は柿や栗。誰のものでもない、道端に咲いていた菜の花まで。 これらのものがそっと勝手口に置いて…

「やわらかい建築の発想」

アマゾンで脊髄反射的に本を注文することが多いのですが、この本はたまたま書店で手に取って気に入ったので購入しました。 僕と同世代か、もっと若い9人(組)の建築家が39の問いかけに対して回答するという構成です。その問いかけそのものが面白くて、と…

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

「ノルウェイの森」を初めて読んだのは大学1年生のときだったか、2年生のときだったか。ちょうど19歳か20歳のときでした。僕はそのころ、松江で一人暮らしをしていて、何故だか60年代の若者の学生生活に憧れを持っていました。「ノルウェイの森」の冒頭の…

「コミュニティデザイン」 「まちの幸福論」

ある公共建築のプロポーザルに参加、提案することがありました。そこで僕が計画の核としたのは、機能の無い大きな無駄な場所をなんとかつくれないかというものでした。そして内部と外部にまたがるその大きな無駄な場所を「広場」と名付けました。 しかし、そ…

「アーキテクチャ」

今更だけど思想地図voi.3「アーキテクチャ」(東浩紀・北田暁大 編)を読みました。そして木綿街道ブックマーケットでたまたま見つけた「フーコー 知と権力」(桜井哲夫著 2003年 講談社)も合わせて読みました(拾い読み程度だけど)。以下、それらの感想と…

地域社会圏主義

山本理顕著「地域社会圏主義」を読んでみました。僕にとっては山本理顕さんの文章は、小さな現代建築の世界を飛び出して俯瞰的に社会と建築の関係を眺める視点を提供してくれるものです。こんな建築家は他に思い当たりません。 山本理顕さん(以下山本)の「…

動物化するポストモダン 続

「18世紀より20世紀半ばまで、近代国家では、成員をひとつにまとめあげるためのさまざまなシステムが整備され、その働きを前提として社会が運営されてきた。・・・「大きな物語」とはそれらシステムの総称である。」近代は「大きな物語」の時代でした。…

動物化するポストモダン 

東浩紀著「動物化するポストモダン」を読んでみました。東さんの「動物化」という言葉に関心を持ったのは「アーキテクチャ」という言葉を耳にするようになってからです。近年「アーキテクチャ」とは人間を無意識のうちに管理する工学的で匿名的な権力の総称…

海辺のカフカ

久しぶりに村上春樹の「海辺のカフカ」を読んでみた。なんていうか、よくわからないけど、とりあえず村上春樹の小説に浮かんでみることだ。海へ向かって流れる川の流れに身をまかせて浮かんでいるみたいに。僕は川に浮かんでいる。そして大きな橋の上から川…

どんぐり姉妹

「私たちはサイトの中にしか、 存在しない姉妹です。 私たちにいつでもメールをください。 時間はかかっても、お返事をします。」 とめどなく広がる人生で、自分を見失わないように。気持ちが少し楽になる居場所(サイト)、それが「どんぐり姉妹」。 よしも…

俗ニ生キ 俗ニ死スベシ

ちびとフーが死んだ。 死んで土になった。 でも何かが僕の一部になった。 生きるとか死ぬとかいまだによくわからないけど、死んですべてが無くなるんじゃなくて、何かが残っていくような気がする。別に宗教的な意味ではないんだけど。 初めて死というものを…

「住まいの境界を読む」

「住まいの境界を読む」(篠原聡子:著 彰国社 2008)を読み始めました。 「住宅」とは何か、考えなきゃいけないと思っています。それはつまり「家族」とは何かという問題なんだろうと思います。 「家族」について以前まとめて書いたことがありました。(http:…

建築文化 1996年 10月号

ちょうど僕が東京の早稲田大学専門学校(現:芸術学校)に入学した年、1996年。その年の秋には池袋の「セゾン美術館」で「ル・コルビュジエ展」が開催されました。そして建築文化10月号ではル・コルビュジエ特集が組まれました。まだ自分自身建築が好きかど…

エーゲ海の村と街 / 地中海の村と街

たまたまネット上で見つけた「エーゲ海の村と街」(鈴木恂共著 ADA EDITA 1973)と「地中海の村と街」(同 1975)の古本を購入しました。 「エーゲ海の村と街」を開くと昨年の思い出とともにミコノスやサントリニが観光地化する前の鈴木恂さんの実測図や写真…

マラドーナ

僕の中学生時代のアイドルはマラドーナだった。 僕はサッカーにのめりこんでいったけど、下手だった。トラップが下手でいつも足元にボールがうまく納まらなかった。いつも「ボールを落ち着かせろ!」と怒鳴られた。でもある本に出会って目から鱗が落ちた。そ…

「デザインのデザイン」

何かいろいろ書き留めておきたいことなどあるけど日々あっという間に時間がすぎていく。本当に早い。ヤマノウチさんに髪を切ってもらったこと。s4fcで大勢の人が集まってくれたこと。shadowfcで大会参加してむちゃくちゃ疲れたけど気持ちよかっ…

悲しき熱帯

関東地方は夕方から雨が降り出した。もう日付は変ったけど、雨足が強くなってきた。 レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯Ⅰ(川田順造訳)」、「神話と意味(大橋保夫訳)」を読む。 「・・いかなる表現も、それが精神的内容の伝達である限りにおいてすべて言語…

母の声、川の匂い

午前中渋谷へ出たついでにハンズ立ち寄った。スキップフロアで売り場が途切れることなくつながっている。模型材料など少々買い物。井の頭通りは道と建物が親密でスケール感がいい。ハンズ出るとお昼。近くのサイゼリアにて生ビールとパスタでひといきつく。…

走ることについて語るときに僕の語ること

村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んだ。1978年4月1日、神宮球場。熱心なヤクルトファンだった村上はビールを飲みながら独り外野席に座っていた。 「晴れわたった空と、緑色をとり戻したばかりの新しい芝生の感触と、バットの快音を…