「住宅」とは何か

前田泰宏さん講演 「美の効用」について

内田咲子さんから誘っていただいた前田泰宏さん講演会の案内には「美の効用」とあり、当初、怪しい?と訝しんでいました 笑。しかし、前田さんのお話しが始まると一気に引き込まれ、笑いもあり、あっという間の一時間でした。 強烈なお話しで、頭のなかで整…

「住宅」とは何か 05

ひとつの写真は、へんれきする人びとの集まるところを描いた 網野善彦 文 司修 絵の「河原にできた中世の町」から。 もうひとつは現代の住宅地。近代以前の日本にはいろんなひとたちが暮らしていました。住む場所や生業によって、ちがう言葉、ちがう習慣、ち…

「箱の家に住みたい」

今日は思い立って手に取った難波さんの「箱の家に住みたい」を読みました。箱の家-1のクライアントとの臨場感あるやりとりや、箱の家の内装の仕様とその理由など、とても整理されていて、実務者にとっても具体的で参考になる内容もありました(14年前の著書な…

地域社会圏主義

山本理顕著「地域社会圏主義」を読んでみました。僕にとっては山本理顕さんの文章は、小さな現代建築の世界を飛び出して俯瞰的に社会と建築の関係を眺める視点を提供してくれるものです。こんな建築家は他に思い当たりません。 山本理顕さん(以下山本)の「…

高円寺スタイル 再び

最近facebookとかツイッターでガス抜きされてブログに手がつかなくなっていました。でもたまには文章を書くくせもつけないといけないような気がする。。 今日は適当に高円寺について。この街は東京で最も親近感を抱いた場所のひとつでした。一番大きな要因は…

長期優良住宅に関する技術講習会

先日、長期優良住宅に関する技術講習会を受講しました。 日本は戦後の大量生産・大量消費のフロー型、成長型の社会からストック型、持続可能性(サステナビリティ)を重視した社会へ移行しなきゃいけない状況になっています。 住宅産業は不景気、不景気とい…

メモ 100623

現代社会は完成されたシステムの上に成り立っています。現代社会では個人が自由に生きていけます。 近代以前の社会では共同体に属さなければ生きてゆくことはできませんでした。そこでは各身体に役割が与えられ、その役割を果たすことが人生でした。建築に様…

「住まいの境界を読む」

「住まいの境界を読む」(篠原聡子:著 彰国社 2008)を読み始めました。 「住宅」とは何か、考えなきゃいけないと思っています。それはつまり「家族」とは何かという問題なんだろうと思います。 「家族」について以前まとめて書いたことがありました。(http:…

「住宅」とは何か 04

「住宅」における生産性の問題から消費の原理への移行(高度成長期) 戦後から高度成長期あたりまで、住宅建築の床面積の不足をどうやって補うかということが日本の建築界の大きなテーマでした。大野勝彦の「セキスイハイムM1」や広瀬鎌二のSHシリーズ(ht…

「住宅」とは何か 03

「家族」を容れる場所 −中廊下型住宅(大正時代) 日本の近代の住居史は、「私」や「家族」など本来自律して存在しなかったものが発見されていく過程でした。共同体が消えてゆき、「郊外」が発見され、生産の場(仕事をする場所)と住む場所が別々になり、「…

「住宅」とは何か 02

職住分離(「住宅」の誕生・「郊外」の発見) −土地の商品化(明治時代末)農家も町屋も社会の一部をその内部に抱え込んでいました。農家で一番大きな場所は土間です。農機具を置いたり、農作業を行う場所でした。そして家の中にはオモテなどの接客の為の場…

「住宅」とは何か 01

「家族」の誕生僕は建築の設計を仕事としています。建築の設計といっても、その中心となるのは住宅の設計になるんだろうと思います。そこで考えたことがありました。「住宅」とはナンだろう?と。そして「住宅」とは「家族」が住むための場所だと思いました…

「住宅」とは何か

夕暮れの阿佐ヶ谷住宅を散策していてイギリスの田園都市のことを思い出した。 そして改めて「住宅」のことを考えてみた。 「住宅」は近代において発見された。「住むための機械」という言葉には、「機械」よりもむしろ「住むための」という部分にこそ近代性…