基町高層アパート・広島平和記念公園

8月16日
所用にて広島市。奥出雲から2時間ちょっとで着くんですね。雨は上がったけど、蒸し暑い。
NHKで取り上げられたり、難波さんがブログで触れられて気になった基町高層アパートに立ち寄りました。(※自由にアクセスできますが、あくまで住宅なので配慮が必要です。)
設計は建築家 大高正人。前川事務所出身で、晴海高層アパートを担当したそうです。ユニテも、晴海も板状の単体の建築だけど、この基町は住棟が屏風みたい折れ曲がり、巨大な中庭をつくっています。中庭の中には小さな街としての機能が納められています。中庭は人工地盤が立体的に駐車場、商店街、公園、学校、集会場といった機能や、歩行者、車の動線を分化しながら各住棟と繋げるような役割をしています。派手さはないですが、これだけでもまとめるには膨大なエネルギーの要る計画だと思います。
マルセイユのユニテはヨーロッパの高密度な都市空間の虚と実を反転させたような野心的な計画だったと思いますが、豊かな都市空間というものは、単体の建築の集まりではなく、建築に囲まれた場所に生まれるような気がします。(相当ざっくりした言い方です。)
その後原爆ドーム広島平和記念公園へ。昨日(15日)が終戦の日でしたが、連休最後の週末ということもあって人出は多かったです。また外国の方々も多く見かけました。




中庭の人工地盤の緑地が目に入ります。住棟も少しづつ高さを変化させながら連続している様子がわかります。屋上庭園の緑も見えますね。

晴海で実現できなかったピロティ。ピロティの階高もしっかりと取られ、地上の抜けをつくり、街に開かれています。当初の計画では駐車場では無かったのかもしれませんが。

上下2層でひとつの構造フレームに納まっているように見えます。ユニテ、晴海から続く流れでもあるし、メタボリズム的スケルトン・インフィルとも見れるでしょうか。

共用廊下側もスチール枠?のパネルの間仕切りで、躯体とは区別されています。

中庭。人口地盤下の商店街。この中にあるお好み焼き屋さんで昼食を食べました。

商店街。通路の十字交差部。人工地盤の屋根越しに高層住棟が見えます。

商店街通路。パリのパサージュみたいにガラスの屋根になってます。

広島平和記念公園原爆ドームからのアプローチ。実は小学校の修学旅行以来でした。

丹下 健三。広島平和記念資料館。戦後モダニズムの出発点でしょうか。

都市的なスケールでの丹下さんの視点はやはりすごいんでしょうね。焼け野原から原爆ドームを発見したのも丹下さんのこの計画だと言われています。

丹下さんの建築は平和記念公園にも似合うけど、ここで軍隊が行進していても違和感ないような感じは確かにしますね。それは記念碑的建築の持つ宿命でしょうか。


参考 晴海高層アパート http://www.ur-net.go.jp/rd/corner-p/pdf/ur2006rd010-05.pdf
   基町高層アパート http://www.arch-hiroshima.net/a-map/hiroshima/motomachi.html

NHK「基町アパート」 https://www.nhk.or.jp/hiroshima////motomachi/photo/index.html