早稲田大学の古谷さん

実家から車で10分ほどのところに家族でよく利用する温泉があります。川沿いのちいさな集落で使われていたちいさな温泉の共同浴場です。お湯はかけ流しで源泉の地熱のままのやさしい暖かさです。
夜温泉につかっていると切りたった山の上には満天の星空があって、初夏には川岸にホタルの舞う光が見えます。そしてかじか蛙の声が川の流れる音と一緒に聞こえてきます。そんな風景を眺めていると、100年前とほとんどかわらない取り残された場所のような気がしてきます。
昨晩も家族でこの温泉を訪れました。たまたま知ったのですが、早稲田大学古谷誠章研究室のみなさんが島根県雲南市を中心に行っているプロジェクトの一環でこの温泉にも関わっておられました。今日はそのワークショップのなかに含まれているシンポジウムがあるということで聴講してきました。シンポジウムと言っても温泉集落の寄り合い所で地元の会合みたいにこじんまりとしていて良かったです。
早稲田大学の古谷さん、東京大学の山代さん、地元の建築家の皆さんなどの座談会など聞くことができて面白かったです。近所でこんなことがあるんだなあと不思議な感じがしました。

今まで地方では、建築というと箱モノをつくってそこに人やお金を集めてきました。しかしそれは商店街や集落からエネルギーを奪い取ることだったのかもしれません。もう一度その場所を舞台として、その場所(商店街だったり、使われなくなった施設だったり)を感じてみることが大切なんだなあと思いました。その為にお祭りやインスタレーションのような行為、地元の人やモノ(農産物など)を巻き込んだしかけをつくりだすきっかけとしての建築の在り方みたいなものがあればいいなあと感じました。

温泉にある宿「湯の上館」
山代悟さんのブログから http://d.hatena.ne.jp/syamashiro0531/20090810/1249907333