しっくい曼荼羅

小林澄夫(元左官教室編集長)さんから漆喰の曼荼羅が送ってきました。
僕は小林さんの眼差しがとても好きです。



石灰と 火、風、水がもたらす性質の変容が現されています。



そして大地(石灰石)、海(サンゴ)、空(二酸化炭素)を行き来する石灰(炭素)それらをつながく長い「時間」。


石灰石や貝がらは火によって生石灰になります。生石灰は水によって消石灰になります。
西欧では焼いた石灰をそのまま水にドブづけして(ものすごい勢いで発熱する化学反応が起こります。)生石灰クリームをつくります(湿式消化)。
日本では空気中の湿気で自然に粉末化させて消石灰をつくります(乾式消化)。
湿式消化の生石灰クリームはのりを入れなくても強力に固まります。
ギリシャの白い集落の石灰汁も、組積造の目地のモルタルもこの湿式消化の石灰と砂だけで、のりは入っていませんが、水で瓦解することはありません。



石灰石はむかし、そこが温暖で浅い海の底だった記憶を物語ります。
石灰と 火、風、水がもたらす性質の変容。
そして大地、海、空、を行き来する石灰(炭素)それらをつながく長い「時間」。


漆喰の曼荼羅の世界です。





左官礼讃

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