トマトをメロンに見せようとするからにせものとなる

という言葉がうちのトイレの壁にかかっている日めくりカレンダーにありました。相田みつをさんの言葉のようです。
僕は建材(この建材という言葉が既にカタログに載って流通する世界の内部にいる証なのかもしれないけど)の優劣というものは無いんじゃないかと思っています。
材料に優劣やホンモノ、ニセモノは無いんじゃないかと。
あるとすれば、「トマトをメロンに見せようとする」ような使い方が問題なんじゃないかなあと思いました。コンクリート打放し風のクロス。プラスチックの竹。レンガ風のタイル。
現代の住宅産業が売っているのは住む為の場所ではなく、イメージです。床面積は既に余っているわけだから、そのイメージこそが消費の原動力です。その為に建材は、そのイメージを支える書割として使われることになります。

ところが、ポンペイで見たギリシャの大理石に似せた左官仕上げは面白かった。
日本でも石の仕上げを真似た偽石の仕上げがたくさんあった。これもとっても味があって面白い。人造石研ぎ出し、現場テラゾー、人造石洗い出し仕上・・。今ではホンモノの石より左官の手間の方が高価になってしまったけど。
ローマは左官大国だった。そういえばイスラムの壁も繊細な左官仕上げだった。
トマトをメロンに見せようとするのも面白いかもしれない?



ポンペイ。レンガで器用に柱のフルーティングの下地をつくってある。

同じくポンペイの鮮やかなフレスコの赤。磨き仕上。