地中海 フランス 02年9月

アトラスの地図を広げたときから興奮していた。プロヴァンス地方アルルから南へ湿地帯を抜け地中海にぶつかる場所。地図で見るとほとんど海に浮かんだように見える。その名もサント・マリー・ド・ラ・メール。
La Mer !
地中海
アジアのへりとラテンヨーロッパ、イスラム、アフリカ大陸が出会い、ぶつかる場所。そこはいろんな文化、人種、民族が交流し、人間達が輝き、血を流し、交わり、神に挑み、喜びにも満ちた場所だった。
そしてなにより「歴史」が生まれた場所だった。「建築」が生まれた場所だった。
歴史としての歴史、建築としての建築を生んだ地中海。この2000年の間、ヨーロッパの建築家達が辿り続けてきた一本の道筋を束ねるギリシャ、そしてパルテノンを生んだ地中海。
パルテノン それは透明な結晶。人の生涯が到底及ばない自然の時間に対して、その時間を凍らせ不変の光を結晶化しようとして創造された「建築」。
でも、不変の光を映す海の波間、その海面は、不定形で不透明な液体との境界面でもある。
海面下はまた地中海の文明を生んだクレタの怪物ミノタウロスの住んだ迷宮の深部へとつながっていく。

この日 僕は生まれて初めて地中海と出会った。
朝からどしゃ降りの雨。サント・マリー・ド・ラ・メールにたどりついた時には陽も傾きはじめていた。
初めて出会った地中海は、僕の期待していた地中海的な地中海ではなくて、空には細切れの雲がいくつも浮かんで、雨季のカンボジアの空を思わせた。
僕はパンツ一枚になって、シーズンも終りかけの地中海に体を浸した。そうすると、僕の体を、海が包むようにまとわりついた。うれしかった。波間から顔を出して、街を眺めると、リゾート地と化したキッチュな街並に浮かぶサント・マリー・ド・ラ・メール教会の鐘楼が見えた。
海の風景とは海を眺めるのではなく、海から眺めた風景に違いない。
定まることの無い、その波間から。



サント・マリー・ド・ラ・メールの海岸


写真は今日高円寺でナイターでのフットサル+飲んだ帰り道 大久保通り
飲みすぎて頭いて
春だね








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