19９６年。上京して建築の勉強を始めたころ。なんか建築家の話でも聞いてみようとでかけた講演会がありました。
ほとんど記憶だけで記述するので若干あいまいな点もありますが。
それは隈さんと理顕さんの対談形式の講演会でした。確かタイトルは「プログラム論」だったか。当時はバブルの反省の時期でカタチをつくることへの嫌悪感が漂っていました。だからプログラムとかミニマルとかいう言葉をよく耳にしました。
また当時はコンピューターやインターネットが一般的に普及し始めた時期でもあり、自由な世界をつくりだすコンピューターの可能性が実感され、対して物質的な建築を不自由だと感じる向きもありました。
隈さんは建築の姿を消して人の経路やそこでの行動をデザインするようなプロジェクトを紹介。対して理顕さんは象徴的な「風の翼」を持つ岩出山中学校を紹介。
隈さんがプログラム論を話そうとしているのに、理顕さんが「結局建築の設計っていうのはカタチを「決めること」なんだよ。」と言い切ったことがとても印象に残っています。
建築とは不自由なものです。一度決めたら動かせません。しかしその不自由さこそが建築の最大の強度でもあるような気がします。
ところで、そんな対話があった二人ですが、今や隈さんは素材を重視した職人的な建築をつくり、理顕さんはシステマチックな建築をつくっていると思うのですが、なんか面白いですね。
スタディ模型。事務所のある家。
