メモ100215

朝6時30分カトウくんと家を出る。肌寒く、外はまだ薄暗い。斐川沿いに出雲まで出て、右手に日本海を眺めながら西へ9号線を走る。お昼前に益田市島根県芸術文化センターグラントワ着。久しぶりに学生時代の気分で写真を撮ったり、簡単なスケッチなど。石見地方は石州瓦の産地。石州瓦は焼成温度が高く、強度や耐候性に優れると言われている。グラントワではこの瓦をこの土地に由来する高性能な仕上げ材料として多用している。瓦という素材は否応にもいろんなイメージを引きずるので建築家は使いたがらない。それをこれだけ大規模な施設を覆うように使ってしまって、かつ高密度な建築としてまとめ上げる力量はさすが。内藤廣みたいな建築家が日本の建築界の第一線に居ることが大切だとつくづく思う。極度に抽象化された現代建築よりも、こういう建築のほうがしっくりくるというか、やっぱり好きかも、というカトウくんの意見には僕も同感。その後石見銀山出雲大社と廻り夜は松江で飲む。僕はまったく酒を飲まない生活が続いていたせいかほとんど飲めなくなっていた。昼間の疲れも出てすぐにグロッキー。
建築は一度決めると動かせない。どんなに自由な建築をつくろうと思っても、一度つくれば固定化されてしまう。この情報化された世界のなかで、場所や物質に拘束される建築はとても不自由な存在。でもその不自由さこそが建築の持つ最大の強さなんだろうと思う。
人生にも同じような部分がある。年を重ねるにつれていろんなことを決めなきゃいけない。家族をつくることもそうだし、仕事や住む場所を決めることもそう。それはだんだん不自由になっていくということ。いろんなことを決めていって、人生をカタチづくり、固定化していく。それは確かに自由を失うことでもあるけど、きっとそれが大人になるということなんだろうと思う。その不自由さこそが、その人の大切なものであって、強さだと思う。少なくともカトウくんは僕より大人だった。



島根県芸術文化センター(グラントワ) エントランス。(2005年 内藤廣 益田市)

同上 中庭広場。中庭の水面は周囲のタイルとフラットに目地で見切られています。空の光や風の動きを映し出す仕上げとしての水面。

同上 大ホール前。

石見銀山 羅漢寺前。

出雲大社 庁の舎。(1963年 菊竹清訓)
出雲地方の稲掛け(はで)がモチーフ。両サイドの柱の束の間をプレストレストコンクリートの長大な梁で掛け渡しています。菊竹さんの全盛期の建築が島根県には数多く残っています(http://d.hatena.ne.jp/uda-24/20090310)。



備考
島根県芸術文化センター http://www.grandtoit.jp/floorguide/index.html
石見銀山 http://fish.miracle.ne.jp/silver/
菊竹清訓 http://www.kikutake.co.jp/top/top.html
内藤廣 http://www.naitoaa.co.jp/


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