ヘリテージマネージャー養成講座

7月4日
平成27年島根県ヘリテージマネージャー養成講座を受講することにしました。
そもそもヘリテージマネージャーとは何かということからあまり理解できていませんでした。
資料からヘリテージマネージャーとは
文化財的価値のある建造物等を保存しまちづくりに活かす
・歴史的建造物の文化財的価値とその評価方法を身につける
・歴史的建造物の修復と保全の手法を身につける
初回の講義を欠席してしてしまったので「文化財的価値」とは何か気になるところですが、配布資料に目を通すと文化財保護法にて「文化財」が定義されていました。以下抜粋。
一 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
六 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)



今日は第二回目の講習会でした。
江面先生の講義で印象に残ったことばなど。
「過去の歴史の研究ではなく、現代学としての歴史学を研究方針とする。」
僕も歴史とは今現在を投影したものであって、ひと筋の普遍的な道筋のことではないと思います。つまり常に変化していくものだろうと思います。学生時代に江面先生が太田博太郎先生に「歴史」とはなんですかと聞いたエピソードも面白かったです。

安高先生の講義で印象に残ったことばなど。
安高先生の講義は「近代」とは何かというところから始まりました。
概念的には時間や場所を否定した近代に対して、時間や場所の固有性、個性を見直し評価することが文化財を捉える立場であるということだったと思います。
個人的には、日本の近世以来のまちなみを徹底的にクリアランスしたのはイデオロギーとしての近代や戦争によるものよりも、戦後の経済原理によるものの破壊力が大きかったのかな、などと想像しています。

歴史的な連続性を持つ街並みなどについて、ある時代を模範として現代の日常を排除してしまうと、それはまた近代が切断した歴史と同じように、その場所での人の営みを否定することになってしまう気がします。
「歴史的環境を現実の生活環境から切り放し、保護すべき対象として捉えるのではなく」(安高先生)、その上に現代の日常が積み重ねってこそ、人びとに共有されたリアルな風景になると感じました。




フランスの田舎街。住民が扉をペンキで塗り替えています。電気の配線も現しになっていますが、それがいい感じです。(2002年)

アイルランド内陸部。シャノン川のほとり、クロンマクノイズ修道院跡。歴史的な遺構ですが、墓地として今もここで暮らす人々の日常の一部になっています。活けられたばかりの花が見えます。(2004年)

奥出雲町。長い長いこの地での鉄を生み出す営みの時間の形跡、遺構の上に現代の日常が、田んぼやこんもりとした丘、墓石といった見慣れた日常があります。