しまね木造塾 第三回

平成25年8月24日
第一講座
木造建築の耐震性を考える
後藤正美先生

第二講座
小屋においでよ!
中村好文先生


各講座とも大変興味深いものでした。
後藤先生の伝統的な木造建築の耐震性能については実際の仕事でも悩むことがおおいのでリアルなテーマでした。後藤先生は伝統工法の耐震要素は柱と梁だと言われます。
豪農の屋敷や寺社仏閣ではなく、きゃしゃな築100年程度の民家の場合、柱もほそく、座敷は柱間も飛んでいます。そうした民家の改修を頼まれた場合、耐震補強を考えるとき、僕が第一に考えるのは水平耐力要素(いわゆる壁)を増やすことです。大きな柱梁の骨太な伝統工法ならともかく、仕口もゆるく、細い部材で組まれた一般的な民家で、伝統的な木造建築の耐震性能である「変形性能」をどうやって担保するのかわからないからです。耐力壁ではなく、柱と梁の変形性能によって、一定の耐震性能を保つ破壊までどうやって持たせるのか、具体的な設計手法も勉強しなければいけないと思いました(難しいはなしですが)。柱はなるべく通した方がよい、柱と柱をつなぐ水平要素(欄間、長押、地長押?)を大切にしたほうがいいという後藤先生のアドバイスも参考になりました。


中村先生は言わずと知れた建築家ですね。とても楽しいレクチャーでした。講義も受講者との堅苦しい距離感を取り除きたいということで机を片づけて行われました。
懇親会の時、僕は(他の建築家と)競争はしないんですよ。自分のやりたいことをただやり続けてきた。という趣旨の言葉も中村さんらしいなと思いました。日本の建築界の主流からは外れたところで、黙々と自分が好きと思える「居場所」を考え、つくりつづけてきた結果、今や一般の方々にも広く知られる日本を代表する建築家のひとりとなられました。
実際に話をさせていただいてもとても気さくな方で(お酒も大好き)楽しいひとときでした。